Chase Bliss Audio / Spectre

Chase Bliss Audio / Spectre

チェイスブリスオーディオ / スペクター

スルーゼロが甦る。
数十年の昔、ある意味で悪名高い“亡霊”が作り出したエフェクト。ステレオオープンリールテープの縁(フランジ)を指で触れることで左右のテープスピードを変えることで効果を作り出したというフランジャーエフェクト。この、スルーゼロフランジャーは、特にアナログの領域ではとても珍しく、実際に発生すると感動的な効果です。
Chase Bliss Audio Spectreは2つのディレイラインを使用し、それらをクロスオーバーさせて、とらえどころのない“ゼロポイント”をカバーします。このスルーゼロフランジャーペダルはオールアナログシグナルパスで構成され、多彩なコントロールによって様々なスタイルのフランジャーを作ることができます。さらに、Spectreは、コーラスやヴィブラートトーンを作ることもできます。入力信号は完全にアナログのまま出力されますが、全てのノブとスイッチは小さなデジタルブレイン(マイクロプロセッサ)へと接続され、アナログエフェクトの制御を行います。シグナルは一切のデジタルプロセッサを通ること無く、一切デジタル化されず、最後までアナログ信号のまま出力されます。
デジタルの力を借りたエフェクトの制御が、アナログエフェクターではあり得なかった、今まで聞いたこともないような効果を生み出すのです。


●コントロール
MIX(RAMP):簡単に言えば、これは魔法のノブです。DIPスイッチでこのノブに何も割り当てていない場合、このノブはウェットとドライのミックスコントロールとして動作します。時計回り最大に回せばフルフランジサウンド、反時計回り最大に回せばチューブプリアンプライクなクリーンサウンドとなります。
さらにDIPスイッチを使うことで、他の5つのコントロール(ZERO、REGEN、RATE、WIDTH、SHIFT)を個別に、または自由に組み合わせてアサインすることができます。この時、モジュレートやランプ・アンド・ホールドをDIPスイッチで設定することにより、パラメータの値を揺らしたり、パラメータの動く方向などを設定できます。つまり、このノブは、設定されたパラメータが最大または最小になるまでの時間(Ramp Time)を設定します。

ZERO:フランジャーエフェクトのマニュアルディレイタイムを設定します。“ゼロポイント”は基本的に1時~3時あたりで設定できます。ゼロポイントを探すには、まずWIDTHコントロールを反時計回り最小に設定し、ZEROノブを1時から3時あたりで動かします。この時、DIPスイッチのPolarityの設定はネガティブに設定してください。すると、ある瞬間に音がほとんど消えてしまう時があります。これがゼロポイントです。ZEROノブを時計回り最大にすると、モジュレーションがこのゼロポイントを通り、スルーゼロフランジャーとなります。ZEROノブを反時計回り最小にすると、2つのディレイライン間のディレイタイム差が大きくなり、ゼロポイントを通らない、トラディショナルなフランジャーエフェクトのサウンドになります。

REGEN:時計回りに回すとフランジャーエフェクトのインテンシティ(強さ)が増します。高く設定していくと、自己発振から“クジラの鳴き声のような”ノイズを作ることができます。反時計回り最小に設定すればエフェクトは弱く、コーラスエフェクトに近づきます。

RPM:フランジャーのスピードを調整します。このノブの設定は、タップテンポで上書きできます。

1-2-4(3-6-8)スイッチ:タップテンポの入力に対し、実際に設定されるテンポの倍率を切替えます。通常は1倍、2倍、4倍の切替ですが、DIPスイッチにより、3倍、6倍、8倍に設定することもできます。また、タップテンポをランピングコントロールに設定することもできます。その時は、このスイッチで設定したテンポの半分のテンポとなります。

WIDTH:フランジャーの振れ幅を設定します。時計回りに回せばクレイジーで深いフランジトーンが得られます。

SHIFT:このコントロールはモジュレーションのセンターポイントを設定します。反時計回りに回せば、波形が早くランプアップし、徐々にランプダウンします。時計回りに回せば、ゆっくりとランプアップし、早くランプダウンします。12時の位置に設定すると、完全に対称の波形となります。

波形切り替えスイッチ(左側):ランプアップ時の波形を、サインウェーブ、トライアングルウェーブ、スクエアウェーブから切替えます。

波形切り替えスイッチ(右側):ランプダウン時の波形を、サインウェーブ、トライアングルウェーブ、スクエアウェーブから切替えます。

WIDTH、SHIFTと2つの波形切り替えスイッチを合わせて、ModuShapeエンジンと言います。モジュレーションシェイプのコントロールに新たな世界を切り拓きます。

Bypassフットスイッチ:エフェクトのON/OFFを切替えます。DIPスイッチで、モメンタリースイッチ(踏んでいる間だけエフェクトON)とすることができます。
Spectreはリレー回路を用いたノイズレスなトゥルーバイパススイッチングです。

Tapフットスイッチ:フランジャーのスピードをタップテンポで設定できます。ここで設定されるテンポは、常に最後の2回のタップとなります。また、このスイッチを1秒間ホールドするとパラメータのランプをリセットします。

手前のトグルスイッチ:プリセット選択スイッチです。右ポジションと左ポジションで、それぞれ1つずつプリセットを呼び出します。中央ではマニュアル設定となります。中央のLEDは、右ポジションでは赤、左ポジションでは緑、中央では消灯します。
プリセットできる設定は、各ノブの位置、トグルスイッチ、DIPスイッチです。プリセットの保存には、右ポジションのプリセットの場合は右側のフットスイッチを、左ポジションの場合は左側のフットスイッチを3秒間長押しし、その後両方のフットスイッチを3秒間長押しすることで可能です。
プリセット選択中にノブを動かす等、パラメータの変更を行うと、LEDが暗くなり、プリセットの状態から何らかの変更が行われたことを示します。それはまだ保存されていません。もしその変更を保存したい場合、再度プリセット保存のプロセスを行います。

●入出力端子
IN:インプットジャックです。楽器からのケーブルを接続します。

OUT:アウトプット・ジャックです。アンプへのケーブルを接続します。

EXP/CV:エクスプレッションペダル端子です。ステレオジャックです。エクスプレッションペダルにアサインされるコントロールはDIPスイッチで設定できます。
世界中の多くのエクスプレッションペダルを接続し、使用可能です。Chase Bliss AudioではMission Engineeringのエクスプレッションペダルを主に使用してチェックを行っています。EP-1またはEP-25kを推奨します。
また、Spectreでは0~5VのCV(コントロールボルテージ)も接続可能です。この時、Ring側がフローティングとしてください。

TAP/MIDI:タップテンポの入出力を行うステレオジャックです。外部タップテンポの入力、またはSpectreのタップテンポを外部に出力できます。Chase Bliss Audio Modified Empress Midiboxを用いてMIDIクロックとシンクロすることもできます。MIDIについての詳細は後述します。

●電源・その他
SpectreのCurrent Drawは50mAです。駆動にはセンターマイナス、2.1mmの標準的な9Vアダプターを使用します。電池はご使用になれません。
インプットインピーダンスは1MΩ、アウトプットインピーダンスは1kΩ未満です。

●DIPスイッチ

SpectreにあるDIPスイッチは、主にエクスプレッションペダルとMIX(RAMP)ノブにアサインする設定をはじめ、細かな動作モードの設定を行います。DIPスイッチはトップマウントのため、ペダルをボードにセットしたまま操作できます。また底面にマジックテープを簡単に貼り付けられます。
本体のDIPスイッチの名称が赤字で記載されているものは、MIX(RAMP)ノブ、またはエクスプレッション/CVペダルが接続されている場合はそちらに影響するスイッチです。
プリセットをセーブした際、DIPスイッチの位置も全て保存されます。エクスプレッションペダルが接続されると、MIX(RAMP)ノブにはMIX以外のパラメータはアサインされません。

Zero・Regen・Rate・Width・Shift(左側):on側にすることで、エクスプレッションペダルとMIX(RAMP)ノブに各パラメータをアサインできます。

Zero・Regen・Rate・Width・Shift(右側):これらのスイッチは、MIX(RAMP)ノブを右に回した際、パラメータが上がる(rise)か下がる(fall)かを設定するスイッチです。同様にエクスプレッションペダルの動きに対するパラメータの動きも設定できます。

Bounce:このスイッチがonで、またエクスプレッションペダルが接続されていない時、各パラメータ値をモジュレート(変動)させることができます。

Polarity:このスイッチは非常にパワフルで重要なスイッチです。ポジティブフランジングとネガティブフランジングの切り替えです。デフォルト設定(off側)はネガティブポジションで、on側がポジティブポジションです。ポジティブフランジングはより音楽的なスウィープと深いローエンドを作ります。ネガティブフランジングはより強烈で“ホロウ”なトーンを作ります。ゼロポイントでは音を打ち消し合います。ゼロポイントを通る、スルーゼロフランジングではどちらのモードも面白いトーンを作ります。

MoToByp:モメンタリーバイパスの設定です。onにするとBypassフットスイッチを踏んでいる間だけ、エフェクトがONになります。

Tap Control:“R”の位置ではRamp、“P”の位置ではフランジャーのスピード(RPMパラメータ)をタップテンポで設定します。RポジションではMIX(RAMP)でのRAMPコントロールのレートを設定します。このスイッチをRポジションに、BounceスイッチをONにすれば、MIX(RAMP)ノブにアサインしたパラメータのモジュレートスピードをタップテンポで設定できます。

Tap Division:1-2-4(3-6-8)スイッチのモードを設定します。“3”の位置では、このスイッチにより実際に設定されるテンポがタップ入力の3倍、6倍、8倍から選択できるようになります。

Sweep:MIX(RAMP)ノブとエクスプレッションペダルの可変幅を設定できます。“T”にすれば、MIX(RAMP)ノブとエクスプレッションペダルにアサインされたパラメータの可変幅が、各パラメータのノブの位置から最大(トップ)まで、“B”にすれば各パラメータのノブの位置から最小(ボトム)までの範囲で可変させることができます。

※DIPスイッチは多彩な設定ができますが、初めてペダルを使用する際には考えすぎてしまうと良くありません。まずはDIPスイッチのことを考えずにペダルの機能を把握した上で、プレイしたいことに合わせてDIPスイッチを設定してみてください。
※Ramp(パラメータの動き)の設定は、バイパスになるごとにリセットされます。エフェクトON後、各パラメータはDIPスイッチの設定にかかわらず各パラメータのノブの位置に設定されます。

●エクスプレッション/CVコントロールとDIPスイッチ
Zero・Regen・Rate・Width・ShiftのDIPスイッチは、MIX(RAMP)ノブ、またはエクスプレッション/CVペダルにパラメータを割り当てることができます。EXP/CV端子にエクスプレッション、またはCVペダルMIX(RAMP)にこのDIPスイッチはMIX(RAMP)ノブではなく、エクスプレッション/CVペダルにパラメータを割り当てます。

●エクスプレッション/CVコントロールによるフランジャーのマニュアルコントロール
EXP/CV端子に何らかのプラグが接続されていて、DIPスイッチで何のパラメータも割り当てられていない時、エクスプレッション/CVペダルでフランジディレイのマニュアルコントロールが可能です。エフェクトのレンジはWIDTHノブにより変化します。WIDTHノブを時計回り最大に設定すると、エフェクトのレンジも最大になります。

●エクスプレッション/CVペダルのレンジ設定
エクスプレッションペダルやCVペダルでコントロールできるパラメータのレンジは、ノブのポジションとSweep DIPスイッチにより設定できます。例えば、エクスプレッションペダルにREGENパラメータを割り当て、フィードバック無し~自己発振までの範囲で調整したい場合、Sweep DIPスイッチをBのポジションとし、REGENノブを発振ギリギリの状態に設定します。フィードバックがもっと欲しい時にはREGENノブを高く設定します。これでエクスプレッション/CVペダルによるコントロールレンジが広がります。
エクスプレッション/CVペダルには複数のパラメータをまとめて設定できますが、各パラメータのコントロールレンジを調整することで詳細に操作感を修正できます。

●MIDI
・MIDIの設定
Spectreは、全てのパラメータをMIDIコントロールチェンジメッセージで操作することができます。また、プリセットをプログラムチェンジメッセージで呼び出すことができ、MIDIクロックメッセージでテンポのコントロールが可能です。
MIDIを使用するためには、まず下記のことを行う必要があります。

1:Chase Bliss Audio Modified Empress Midibox(別売)を用意し、Ring ActiveポートとTap/MIDIジャックをステレオケーブルで接続します。
スタンダードなEmpress Midiboxを使用することもできますが、その場合TipとRingを反転させるカスタムケーブル(または別売のMidibox Adapter Cable)を使う必要があります。

2:MIDIチャンネルをシステムに合わせて設定します。Spectreは、デフォルトでMIDIチャンネル5に設定されていますが、このチャンネルは変更できます。MIDIチャンネルを変更したい場合、2つのフットスイッチを押しながら電源を入れます。その後、設定したいMIDIチャンネルのプログラムチェンジメッセージをSpectreに送信します。そうすることで、自動的にMIDIチャンネルを設定できます。

・プリセットの呼び出し
Spectreは、MIDIプログラムチェンジメッセージを使用し、最大122までのプリセットを呼び出すことができます。プリセット1と2は本体のトグルスイッチからも呼び出せます。
プログラムチェンジナンバー0は、本体のトグルスイッチが中央のポジションとなるライブモード(マニュアルモード)です。トグルスイッチが右ポジションの時はプリセット1、左ポジションの時はプリセット2となります。

・MIDIでのプリセット保存
本体のTap、BypassのフットスイッチをホールドしながらMIDIプログラムチェンジメッセージを送信すると、プリセットの保存が可能です。
例えば両方のフットスイッチを押しながらMIDIプログラムチェンジメッセージ45を送信すると、現在の設定がプリセット45に保存されます。
本体のトグルスイッチで呼び出せるプリセットはプリセット1と2のみですが、Spectreには最大122のプリセットスロットがあります。

・MIDIクロック(MIDIビートクロック)
SpectreはMIDIクロックメッセージにも対応します。MIDIクロックはクオーターノート(4分音符)を24までに細分化するMIDIメッセージです。
1-2-4(3-6-8)のタップセレクショントグルにより、ヴィブラート1周期に割り当てる音符を設定できます。
1:全音符、2:2分音符、4:4分音符、3:付点8分音符、6:8分音符、8:16分音符です。

・コントロールチェンジメッセージ
SpectreはMIDIコントロールチェンジメッセージで各種のパラメータを変更できます。

各ノブの値(各コントロールチェンジメッセージの値が0で反時計回り最小、127で時計回り最大の設定です)
MIX: CC#14
ZERO: CC#15
REGEN: CC#16
RPM: CC#17
WIDTH: CC#18
SHIFT: CC#19
RAMP: CC#20

Midi Note Divisions: CC#21
このパラメータは、値が0の時に全音符、1で2分音符、2で付点8分、3で4分音符、4で8分音符、5で16分音符となります。

Midi Clock Ignore: CC#51
値を0に設定すると、MIDIクロックメッセージを無視します。127に設定するとMIDIクロックメッセージが有効になります。デフォルトではMIDIクロックメッセージが有効です。

Tap Switch: CC#93
何らかの値が送信されると、タップテンポスイッチが押されたと認識します。MIDIを通してタップテンポ設定を行う際に使用します。

Expression: CC#100
値が0ではOFF、127で最大まで踏み込んだ設定となり、その間の数値は全てエクスプレッションペダルの中間的な位置になります。数値はエクスプレッションペダルの踏み込み具合を表します。エクスプレッションペダルでコントロールするパラメータは本体のDIPスイッチで設定できます。

Bypass Switch: CC#102
127でエフェクトON、0でエフェクトOFFとなります。エフェクトON時に127の値を送信すると、全てのランピングをリセットできます。

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